/ Deep Dive2026年6月26日9

AI Capexはいつまで続くか2020→2030→2035、ハイパースケーラー設備投資の総量で半導体相場の土台を見る

AI半導体相場を支えているのは、NVIDIAの決算だけではなく、Microsoft、Amazon、Alphabet、MetaのCapex総量だ。2025-2026年の急増はすでに見えている。問題はその先、2030年まで続くのか、2035年にはどうなるのか。本記事では、Big 4の2020-2026実績/ガイダンス、Goldmanの2030年累計見通し、IEAの電力需要シナリオを重ね、低位・標準・高位の3シナリオで『AI Capexの山』をグラフ化する。

2020年から2035年までのハイパースケーラーCapex推移シナリオ
/ Big 4 hyperscaler capex / 2020-2035 scenario model
§ 00

見たいのは会社別順位ではなく、総量の山

AI半導体相場を支えているのは「今年どの会社が一番使うか」ではなく、ハイパースケーラー全体が、何年にわたり、どれだけCapexを突っ込むかだ。

結論から言うと、標準シナリオでは山は2026年で終わらない。 Big 4のCapexは2025年の約$410Bから2026年に約$725Bへ跳ね、 2030年前後に年$1T超へ向かう。2031年以降は電力制約と効率化で減速するが、 2035年でも2024年以前とは別次元の水準が残る。

2020
$95B
通常クラウド投資
2025
$410B
AIデータセンター急増
2026
$725B
Big 4ガイダンス
2030
$1.3T
標準シナリオ山頂
2035
$0.85T
更新サイクルへ移行
半導体相場の問いは「NVIDIAは高いか」ではない。 Big 4のCapex曲線が、いつピークアウトするかである。
§ 01

2020→2035 年次Capexシナリオ

下のグラフは、Microsoft、Amazon、Alphabet、MetaのBig 4を対象にした年次Capexモデル。 2020-2024は会社報告ベースの概算、2025-2026はFT/会社ガイダンス系の集計、 2027-2030はGoldmanの「Big 4累計$5.3T」見通しに合わせた標準シナリオ。 2031-2035はZVYX側の延長シナリオだ。

/ Big 4 Hyperscaler Capex · 2020 → 2035
標準シナリオでは2030年前後に年$1.3T規模まで膨らむ
$0$450B$900B$1.4T$1.8T20202025202620302035$95B$410B$725B$1.29T$850B
Actual / guidance
2020-2026は実績・会社ガイダンス/報道集計。
Base scenario
2025-2030累計がGoldmanのBig 4 $5.3Tに合う曲線。
2035 extension
電力制約と更新投資を織り込むZVYX側シナリオ。
読み方
水色の太線が標準シナリオ。薄い帯が低位-高位レンジ。 2030の$1.3Tは「予言」ではなく、2025-2030累計$5.3TというGoldman見通しを年次曲線へ戻した代表値。 つまり、この累計見通しを信じるなら、2027-2030のCapexは高止まりしないと数字が合わない
§ 02

累計で見ると、2030までが本体

単年の$725Bは大きい。ただ、AI半導体サイクルにとってもっと重要なのは累計だ。 GPU、HBM、ネットワーク、冷却、電力設備は、1年で終わる需要ではなく複数年の建設波として出る。

/ Cumulative Capex
2025-2030だけでBig 4は数兆ドルを燃やす
低位電力・効率化で2027以降に失速
2030 $3.90T / 2035 $6.54T
標準GoldmanのBig 4累計$5.3Tに合わせる
2030 $5.30T / 2035 $10.40T
高位国家AI・推論需要・外部資金が上振れ
2030 $6.30T / 2035 $14.10T
白線は2030累計、バー終端は2035累計。標準シナリオの2025-2030累計は約$5.3T。

標準シナリオでは、2025-2030だけでBig 4累計は約$5.3T。 2035まで含めると約$10T規模になる。 低位でも$6T台、高位なら$13T台。ここまでくると「AIブーム」ではなく、世界最大級の民間インフラ投資サイクルとして見る方が正しい。

§ 03

半導体相場への読み替え

もちろんCapex全額が半導体になるわけではない。 土地、建物、電力、冷却、リース、ネットワーク、ストレージが入る。 それでも、総Capexの35-45%がAIハードウェアへ流れるだけで、半導体側には巨大な床ができる。

/ Semiconductor Pull-through
半導体相場の床は「Capex総量 × AIハード比率」で決まる
2025
AI半導体/ネットワーク/HBM推定 $144B-$185B
総Capex $410B
2026
AI半導体/ネットワーク/HBM推定 $254B-$326B
総Capex $725B
2030
AI半導体/ネットワーク/HBM推定 $453B-$583B
総Capex $1.29T
2035
AI半導体/ネットワーク/HBM推定 $298B-$383B
総Capex $850B
仮定: 総Capexの35-45%がAIサーバー、アクセラレータ、HBM、ネットワーク、ストレージ等のハードウェアへ流れる。 施設・土地・電力・冷却も含むため、全額が半導体売上になるわけではない。

標準シナリオの2030年では、Big 4の総Capexが約$1.3T。 その35-45%だけでも、AI半導体・HBM・ネットワーク周辺へ年$450B-$580B規模の需要が流れうる。 これが現在のAI半導体相場を支える「床」だ。

§ 04

いつまで続くのか

/ 2020-2022
Cloud Capex
通常のクラウド拡張。Big 4合計は年$100B台。半導体相場の主役ではまだない。
/ 2023-2026
GPU Landgrab
生成AIで一気に加速。2025→2026だけで$410Bから$725Bへ跳ねる。
/ 2027-2030
Buildout Peak
GoldmanのBig 4累計$5.3T見通しを満たすには、2030年前後まで高水準が続く。
/ 2031-2035
Power Cap / Refresh
新設一辺倒から、電力制約・更新投資・効率化へ。山は残るが傾きは落ちる。

私の答えはこうだ。2026年で終わる可能性は低い。2028-2030が本当の山。ただし2030以降は、GPUを買えば伸びる単純な時期ではなくなる。 電力、変圧器、土地、冷却、人材、リース債務、推論効率がCapexの天井を決める。

投資判断の一文
AI半導体相場はまだ複数年の支えがある。 ただし2027年以降は「Capexが増えているか」だけではなく、Capexの伸び率が鈍る兆候を見る局面になる。 年次Capexが横ばい化した瞬間、半導体株のバリュエーションは先に反応する。
§ 05

結論

  • AI Capexの山は2026年単年ではなく、2027-2030に本体がある。
  • GoldmanのBig 4累計$5.3T見通しを置くと、2030年近辺まで高水準継続が必要。
  • 2035年は新設ブームから更新・電力制約・効率化のサイクルへ移る。
  • 半導体相場の最重要KPIは、NVIDIA単体ではなくBig 4年次Capexの傾き。
AI半導体相場は、モデルの夢で上がっているように見えて、 実際にはハイパースケーラーのCapex曲線で支えられている。